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「死なないための住宅」「三鷹天命反転住宅」が存続危機!!

 

我が社は愛知県の西の端で、三重県と岐阜県の県境にあります。

そのお隣の岐阜県には、世界的に有名な建築物があるのをご存じでしょうか?

養老天命反転地といいます。

1995年に開園されたこの有料公園施設は荒川修作氏とアメリカ人のマドリン・ギンズ のプロジェクトを実現させたものです。

 

今回ご紹介するのは養老天命反転地の兄弟分のような存在。

彼らの「死という宿命(天命)を反転させる」をコンセプトに、

ここに住むと身体の潜在能力が引き出され、人間は死ななくなるという賃貸住宅をご紹介します。

 


 

✔三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller

 

 

「三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller」の外観

(写真:Ken Kato、提供:荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所)


荒川修作氏とイギリスのマドリン・ギンズ の「死という宿命(天命)を反転させる」をコンセプトを実現させた住宅とは

東京都三鷹市に建築された「三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン・ケラー」という9戸から成る3階建ての集合住宅で、

カラフルな外観で知られています。

 

外観および室内には意識的に14色もの色が使われています。

どういうことかというと、彼らは人間の身体や視覚、感覚について色々な研究を通して、どこから見ても一度に6色以上の色が見えるように配色したのです。

これは、人は一度に6色以上の色が見えると一つ一つの色を認識するというよりも、環境として見るようになるということでした。

現代日本のバリアフリーの考えにも一石を投じており、この住宅の空間について理学療法・作業療法の分野からもさまざまな考察がなされています。

 

彼らは日常的に常識で捉えられるものが、身体の使い方や知覚や感覚との関係性でどんどん変えることができて、

物事の見方は一つではないと考えていました。

天井に埋め込まれた吊り具に棒を使って鞄やコートをかけ、傾斜のついたでこぼことした床をぐるぐると歩きまわる。

そうやって動いてみることで、まるでヘレン・ケラーが身体全体とあらゆる感覚を使って世界を知ったように、

家という環境が身体の様々な可能性を引き出す可能性を見出したのです。

 


✔大規模な修繕計画がとん挫

2005年の竣工以来、賃貸住宅及び、教育・文化プログラムを世界へ発信するイベントスペースとして活用されてきました。

堅牢さは「原発クラス」と言われるほどに、形状の異なる立体を建物として組み上げるには相当の強度が必要なため、

竣工15周年を迎えた2020年に大規模な修繕計画が進められる予定でしたが、コロナ禍によって全イベントが中止となり、利用者が激減しました。

 

現在もなお計画の見直しができず、経済的に苦しい状況を打破するために、2021年9月13日から同年12月10日までラウドファンディングが実施されています。

目標額は1000万円で、特に急を要する劣化が激しい共用部(廊下・階段・梁・手すりなど)の耐火塗装や防水工事を行う補修工事費用に充てられるとのこと。

支援コースは3000円からあり、見学会の招待券(5000円)やテレワークプラン招待券(3万円)といった返礼品が用意されています。

 

↓↓↓ MOTION GALLERY ↓↓↓

三鷹天命反転住宅の天命を反転させたい! 歴史的建造物として残すためにお力をお貸しください!!

 


 

✔まとめ

三鷹天命反転住宅は、愛知県名古屋市出身の美術家である荒川修作とその妻であるアメリカ人のマドリン・ギンズがヘレン・ケラーを住民のモデルとしてデザインした建物です。

「社会福祉に尽力したヘレン・ケラーなら、どんな空間に住みたいか」と思いを巡らせ、形にしたその住宅は老若男女問わず、どんな体の人でもその人ならではの使い方が見つかることを目指したそうで、

2008年にはニューヨーク郊外のイーストハンプトンに「Bioscleave House(バイオスクリーブ・ハウス)」が完成。

「死なないための家」第二号として、荒川+ギンズの唱える「天命反転思想」を、芸術、哲学、科学の専門家・研究者が活発に議論を続けています。

 

2021年の7月6日には、荒川修作の85回目の誕生日を祝い、三鷹天命反転住宅がGoogle Doodleのロゴとして紹介されました。

 

歴史的価値の高い建造物として、次世代につなげるためのクラウドファンディングを成功させて、何とか三鷹天命反転住宅を存続させてほしいものです。