ウクライナ危機でウッドショックにさらに拍車がかかる?!
建材・設備メーカーではここ最近値上げが相次いでいます。
ガラス、アルミサッシ、フローリング、金属外壁、防水材、トイレ、ユニットバス、システムキッチン、壁紙、塗料など、価格が上がっていないものを探すほうが難しいほどです。
これは、去年まではコロナ禍からの回復に端を欲す需給バランスの崩れ、いわゆるボトルネックが原因だったわけですが、ここ最近は別の問題が原因となっています。
ロシアによるウクライナ侵攻です。
今回は紛争資材と呼ばれる問題について考えてみます。
✔ウクライナ侵攻とは
ウクライナのNATO加盟に向けた動きに対してロシアのプーチン大統領は、「ロシアとウクライナは一つの民族である」という主張のもと、NATOの東方拡大に反対する態度を表明しウクライナ周辺に軍を展開させました。そして2月24日になってロシア軍はウクライナの軍事施設に対して、ミサイルによる攻撃を始めました。
✔ウッドショックに拍車がかかる理由
ロシアのウクライナ侵攻を受け、木材の供給減少が需給バランスに影響を与えかねないとの危惧が木材関係者の間で広がってきました。
・木材の認証制度
木材には森林認証という環境保全を配慮した管理認証があります。森林認証の取り組みは世界的に進んでおり、日本でも大手企業を中心に木材供給網を構成する各社が森林認証を取得しています。
よく知られているのが、PEFCとFSCです。
FSCは、木材や紙などの林産物が製品となって消費者の手元に届くまで、その製品を取り扱うすべての組織を対象とする認証制度
PEFCは「持続可能な森林管理のための汎欧州施業ガイドライン」を基準
PEFCとFSCには森林管理に関する「FM認証」と製造・加工・流通に関する「CoC認証」の2つで構成される共通認証があり、FM認証を取得した森林所有者などの森林から伐採した木材を、CoC認証を取得した素材生産者や製材メーカー、中間流通業者などが管理するという手順になっています。
・認証木材の輸出入制限
紛争木材による認証停止
PEFCやFSCなどの認証を受けている世界の森林面積のうち、約6割がPEFCの認証森林であり、ロシアとベラルーシの両国の認証面積は世界のPEFC認証面積の12.5%に相当する約4100万haと非常に大きいのです。
22年3月上旬、国際的な森林認証である「PEFC認証」と「FSC認証」が相次いで、ロシア産とベラルーシ産の木材への認証を一時的に停止すると発表しました。
PEFC理事会のエドゥアルド・ロハス・ブレアレス議長は、「ロシアおよびベラルーシを起源とする木材を全て『紛争木材』と解釈するとしています。
「紛争木材」とは「武装集団、あるいは、武力紛争に関与する文民政権またはその代表者によって取引された木材であり、その目的が紛争の永続化または個人的な利益のために紛争状態を利用することにある場合」とされています。
つまり認証制度木材の多くの部分を占めているロシアとベラルーシの木材は紛争木材と判断され、森林認証されずPEFC認証を受けた製品全てに使用できない上に現時点で認証材をすぐに別の認証材に代替するのは難しいとみられています。
ロシアによる輸出制限
ロシア側にも輸出規制の動きがでてきており、ウクライナ侵攻による経済制裁への対抗として日本を含む非友好国に対して一部の木材や木材製品の輸出も停止するとしました。
対象となるのは、チップ状の木材(輸出品物の関税番号であるHSコード4401.21および4401.22)、粗木材(同44.03)、化粧張り用単板や合板用単板など(同44.08)
✔まとめ
上記のようにロシアからの木材が先細り、欧州から日本への輸出量が減れば、21年に発生した木材高騰「ウッドショック」と同じ構図になるということで、ロシアに端を発する第2次ウッドショックの懸念が高まってきました。
ロシア産製材は天井の下地材として重宝されており、輸入が止まれば、月当たり住宅1万7000棟分の天井の下地材に影響を及ぼすという試算もあるほどです。
今後、この戦争がどれほどの長期間になるのか知る由もありませんが、いずれにしてもこの第2次ウッドショックは避けることは出来ないと思います。
そしてウッドショックだけでなく、天然ガスなどのエネルギー供給バランスの崩れにより、既に素材メーカーでは、ウクライナ危機に伴う原料価格の急騰を素材価格に転嫁する動きが現れ始めている。例えば内装材の主原料である塩化ビニール樹脂。原料であるナフサの価格が急騰。22年3月14日のカネカを皮切りに、16日信越化学工業、18日大洋塩ビ、23日新第一塩ビが22年4月1日からの値上げを発表しました。
各メーカーの値上げの具合は以下の通りです。 いや~困ったものです💦