シンナー不足がかなり深刻です

2026年のイランとアメリカの軍事衝突をきっかけに、世界のエネルギー供給は大きく揺れています。
その中でも、日本の製造業や塗装業者にとって深刻な問題になりつつあるのが「シンナー不足」です。
一見すると遠い中東情勢と、現場で使うシンナーは関係がなさそうに見えますが、実は一本の線でつながっています。
今回はシンナー不足はなぜ起こったのか簡単に解説してみようと思います。
✔アメリカとの戦争要因と今後の見通し
原因としてはイランとアメリカの軍事衝突によってホルムズ海峡が機雷敷設などで事実上封鎖され、安全な通航が難しくなっているためです。機雷の完全除去が難しく、再開のメドが立ちにくいことが、エネルギー危機の長期化につながる懸念になっています。
ホルムズ海峡は、中東産の原油や石油製品の大動脈で、世界の海上石油輸送のかなりの割合が通る要所です。封鎖されると、中東からの原油・石油製品が一気に細り、日本向けのタンカーもほとんど来なくなります。
多くの国は「完全封鎖」を長く続けさせない方向で動くため、何らかの形で部分的な通航再開や代替ルートの確保が図られ、最悪期は中長期には緩和していく可能性が高いとされています。
✔シンナー不足が起きる仕組み
塗料用シンナーなどの多くは、ナフサをもとにした有機溶剤で作られています。
ナフサ不足 → 石油化学品の減産 → 有機溶剤の供給減少 → シンナーの不足・価格高騰
という流れで、直接「シンナーが輸入できない」というより、「原料のナフサや石油化学製品が足りないせいで、国内メーカー側がシンナーを十分に作れない、または価格が跳ね上がる」という形で不足感が出やすくなります。
日本の石油化学産業は、中東産原油から精製される「ナフサ」という原料に大きく依存していて、このナフサが不足すると、そこから作るエチレンなどの石油化学製品が減産されます。すでにナフサ不足で価格が倍近くまで上がり、一部プラントが減産あるいは出荷停止になっているそうです。
✔日本の製造・塗装現場への具体的な影響
今回のホルムズ海峡封鎖は、次のような形で現場を直撃しつつあります。
コストと供給の両面での打撃
- シンナーや関連溶剤の仕入れ価格の上昇
- メーカーや商社による出荷制限、配分調整
- 既存大口顧客を優先した供給となり、中小の塗装業者・製造業者ほど影響を受けやすい
生産計画・納期への波及
- 塗装工程のボトルネック化によるライン停止リスク
- 材料不足による生産調整、残業や増産でのリカバリーが困難に
- 取引先への納期遅延、コスト転嫁交渉の必要性
安全・品質リスクの高まり
- やむを得ず代替溶剤や別メーカー品を使用することで、
- 塗膜不良や色差など品質トラブルのリスク
- 消防法上の区分や作業安全性の違いによる事故リスク
- 「とりあえず似たシンナーで代用する」判断が、後々のクレームや事故につながる懸念
ホルムズ海峡という一つの海峡の封鎖が、時間差を伴ってここまで現場に波及しているのが、今回の特徴です。
✔まとめ
ホルムズ海峡のニュースは、一見すると自分たちの現場とは関係のない「世界情勢」の話に見えます。しかし実際には、
- ホルムズ海峡封鎖
- 原油・ナフサの不足と高騰
- 有機溶剤の供給逼迫
- そしてシンナー不足と現場の混乱
という一本の線でつながっています。
今回のシンナー不足をきっかけに、自社の材料調達や工程、在庫の持ち方を見直し、エネルギーや素材のリスクを踏まえた「強い現場づくり」に取り組んでいくことが、これからますます重要になっていくのではないでしょうか・・