家具は買い替えからアップサイクルへ
SDGSが採択されて、2030年までに持続可能な開発を達成するために、国際社会が合意した17の目標が設定され、貧困の撲滅や質の高い教育の提供、エネルギーのクリーン化など、持続可能な社会・経済・環境の実現に向けた様々な取り組みが行われている今日この頃。
それは我々が作っている家具にも密接に関係していることをご存じですか?
今日はそんなお話です。
✔家具のアップサイクル
これまでインテリア業界の多くの企業では、「計画的陳腐化」という考えの下、既存商品を意図的に時代後れにすることにより、市場の拡大を図る戦略モデルで成り立ってきました。
しかし近年、特にコロナ禍のあと、リモートワークや田舎移住などが流行り、エンドユーザーの購買の物差しも変化ししつつあります。
そういった中で、新たに台頭してきたのが、アップサイクル家具です。
アップサイクルとは、「再利用することで価値を高める」という意味を持ちます。
つまり、家具のアップサイクルとは、今までのように古くて使われなくなった家具を捨てる代わりに、新しい使い方に適した形や機能に変えたり、古い家具を素材として別の家具や小物を作り出すことで、廃棄される前に価値を再生することができます。
アップサイクルは、リサイクルとは異なり、素材を再利用するだけでなく、新しいデザインや機能を追加することで、よりクリエイティブで環境にも優しい方法なのです。
例えば、古い机を塗り替えてリメイクし、新しいカラフルな外観を与えたり、機能を拡張してコンピューターデスクにしたりすることができます。また、古い棚を別の家具に変えたり、不要な家具から木材を取り出して新しい家具を作ることもできます。
✔アップサイクルは環境にとても良い
アップサイクルは、環境にとっても良い方法です。
古い家具が捨てられてしまうと、それらは埋め立て場や焼却場に送られ、その結果、地球温暖化や環境汚染につながる排出ガスや廃棄物が発生します。一方、アップサイクルによって、古い家具が新しい用途に再利用され、リサイクルよりも高い品質の製品が作られることになり、廃棄物はより少なくなり、環境に優しい方法で生活することができます。
アップサイクルには、DIYプロジェクトの楽しさやクリエイティブなアイデアを活用することができるという利点もあります。手作業で家具をリメイクすることで、自分だけのオリジナルの家具を作ることができ、自己表現やインテリアデザインの楽しみを得ることができます。
DIYプロジェクトではコスト削減も可能で、新しい家具を買う代わりに、古い家具をアップサイクルして再利用することで、予算を抑えることができます。
✔SDGSとの関係
SDGs(持続可能な開発目標)と家具のアップサイクルには、密接な関係があります。
SDGSの中でも家具のアップサイクルと特に密接なのが以下の3つです。
「持続可能な消費と生産」(SDG 12)
「気候変動に対する具体的な対策」(SDG 13)
「街並みの保全」(SDG 11)
具体的には、古い家具を再利用することで、消費に伴う廃棄物の発生を減らすことができます。また、古い家具をリメイクして新しい家具や小物を作ることで、素材の再利用による資源の節約や、再生可能エネルギーを使ったDIYプロジェクトによるクリーンなエネルギーの活用など、持続可能な消費と生産に貢献することができます。
さらに、(SDG 11)で掲げられている「持続可能な都市とコミュニティ」の目標にも貢献します。古い家具を再利用することで、廃棄物の発生を減らすことができ、また、新しい家具や小物を作ることで、街並みの美化や地域経済の活性化にもつながります。
つまり、家具のアップサイクルは、SDGsの達成に向けた重要な取り組みであり、持続可能な社会の実現に貢献することができます。
✔まとめ
サステナビリティが叫ばれる昨今、製造後最初に流通し販売される「1次流通」や、一度消費者の手に渡った後、古着屋やオークションを通じて販売される「2次流通」とは違う、アップサイクルと呼ばれる「2.5次流通」という新しいビジネスモデルが続々と誕生しています。
まさにライフスタイルを売り物にする新たなビジネスモデルの創造が求められているのです。