建築の流行を取り入れた「ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店」の外装がおもしろい
ファッションや言葉、世の中の流れなどに流行があるように、建築にも様々な流行が存在します。
現在は、よりシンプルな流れを汲んでおり、多様化した住宅が建築家から提案されています。
キーワードは、「シンプルモダン」「白」「箱型」「エコ」など
住宅で使用している材料・仕上げをあげてみるとよくわかりますが、
壁や天井では、コンクリート打放し、セメント板、左官の塗壁、AEP(塗装)、シナ合板、ガラス大開口またはガラス壁面などの窓、
床なら、無垢フローリングやタイル、モルタル、ビニールタイルなど、シンプルなものが多く用いられています。
今回はそんな建築の流行を取り入れたスーパーブランド「ルイヴィトン」のお話
ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店
( Photo: ©Daichi Ano/Louis Vuitton)
1981年に誕生したルイ・ヴィトン日本初の直営店「LOUIS VUITTON GINZA NAMIKI(ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店)」は 、
2021年3月20日に約3年に及ぶ建て替えを経て、リニューアルオープンしました。
設計は青木淳とピーター・マリノという2人の著名な建築家で、青木さんはルイヴィトンの設計を数多く手掛けています。
そして、この銀座並木店では話題を呼んでいるとても見ごたえのある外観で、建築の流行を取り入れています。
流行を取り入れた外観
(photos by Neoplus Sixten Inc.)
この建物を覆い尽くすような外観の正体はなんとガラス!
自然主義にインスピレーションを得たといわれる表面が波打つガラスのカーテンウオールは、「水の柱」を表現しているそうです。
外側(アウター)に曲面の合わせガラス、内側(インナー)に複層ガラスという2層のガラスが波打つように形づくられています。
景色や空の様子を水面のように反射し、ビル全体が街へゆるやかに溶け込むように見えている秘密はコレ!
外側にくるガラスの内面(合わせ面)に、オレンジの光だけを反射する「ダイクロイック・コーティング」が施されています。
外観がオレンジに見えるのは、この反射が強いときです。
逆にオレンジ以外の波長の光はダイクロイックを透過し、合わせガラスのもう1枚のガラスに到達した際、
ガラスの室内側に張った「グラデーションフィルム」で、今度は青の光を反射します。
建物に当たる直射光や間接光の加減で、オレンジの反射が見えたり、青が見えたりします。
そして合わせガラスが波打っているため、眺める角度で色が違って見えるというわけです。
イメージしたのはモネの「ラ・グルヌイエール」の水面だそうです。 とても幻想的ですね。
内装も水をモチーフにして素敵
(photos by Neoplus Sixten Inc.)
内観は、ピーター・マリノ氏によるデザインです。
1階から伸びる階段は、彫刻を施したオーク材とガラスを使い、曲線を効果的に用いることで、水の流れを感じさせるような空間をつくり出しています。
クラゲもいます(笑)
カウンターや天井パネル、あるいはモルテン・ステンベークやイサム・ノグチによる丸みを帯びた家具も曲線がおおく、
室内外どこも水、水、水。
7階のうち、1-4階を占めるのが店舗スペースになっており、
1階は、ウィメンズのレザーグッズ、ウォッチ&ファインジュエリー、常設のポップイン・スペース
2階は、ウィメンズ・レザーグッズに加え、アクセサリーやトラベル、フレグランスのフロア
3階にはプレタポルテやシューズなどのウィメンズの世界
4階は、フロア全体がメンズ・アイテムで構成
プライベートサロンは6階に設けられ、最上階の7階には「LE CAFE V(ル・カフェ・ヴィー)」があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
青木淳氏はわれらが名古屋栄のルイヴィトンを1999年に初めて手掛けられたのを皮切りに、数多くのルイヴィトン店舗を設計してきました。
そして今回は今までのルイ・ヴィトンの外装デザインの流れとまったく違うものになりましたが、
その中にもきっちり建築の流行を取り入れられています。
近年、環境問題としてエネルギーの消費や温室効果ガスの排出量が上げられています。
そんななか建築物には化学材料よりも木や緑を建築物に取り入れる動きが高まっており、建築物の構造や材料の工夫によって熱や空気の流れを制御し、
快適な室内環境を作り出すデザインが人気になっています。
いつの時代でも建築物の本質は空間構成。楽しいことと、機能的であること、そして遊び心。
これらがうまく結びついた建築は同時に美しさも併せ持つのではないでしょうか。
昨今の世の中の流れをみても、しばらくはこのようなトレンドが続きそうです。