最近ささやかれているインフラ崩壊について
2025年1月28日、埼玉県八潮市で下水道管の破損が原因とみられる大規模な道路陥没が発生しました。
皆さんもニュースで見たかもしれませんね。。
道路を走行中のトラックが15メートル深い穴に落下し、74歳の運転手の救出作業が難航、現在もまだ救出されていません。
事故は、高度経済成長期に整備された下水道管の老朽化が背景にあるとされ、国土交通省は類似の点検を東京、神奈川、千葉にも要請しました。この事例は、日本のインフラ老朽化が現実的な脅威として顕在化した象徴的なケースだと思います。
✔2000年以降のインフラ老朽化と考えられる事象
1. 笹子トンネル天井崩落事故(2012年12月)
山梨県の中央自動車道笹子トンネルで、天井のコンクリート板が落下し、走行中の車両を直撃。9人が死亡する大惨事となりました。原因は、1977年の開通以来、老朽化した吊りボルトの劣化と点検不足。事故後、全国のトンネル点検が見直されましたが、高速道路インフラの老朽化と維持管理の課題が浮き彫りになりました。
2. 和歌山市の水管橋崩落(2021年12月)
和歌山市で、紀の川を渡る水道管を支える水管橋が崩落し、約6万世帯が断水しました。1968年に建設されたこの水管橋は、耐用年数を過ぎており、補修が不十分だったことが原因とされています。復旧に数日かかり、市民生活に大きな影響を及ぼしました。
これらの日本を襲う「インフラ崩壊」ですが、これらは日本で進む急激な人口減少と高齢化社会が原因ではないかと言われています。
そしてそれらのインフラを支える我々建設建築業界は大きな変革を迫られています。
✔日本特有の背景
前述した事例から、日本のインフラ崩壊にはいくつかの共通点が見られます。
高度経済成長期(1960~70年代)に整備されたインフラが耐用年数を迎え、更新が追いついていないこと、人口減少による労働力不足や予算削減が維持管理を難しくしていること、そして地震や津波といった自然災害への曝露が大きいことが挙げられます。八潮や笹子のケースでは、事前に老朽化が指摘されていたにも関わらず対策が遅れた点も問題視されています。
今後考えられるシナリオとしては
1. 労働力不足が招くインフラ管理の危機
日本の建設業界は、すでに熟練労働者の高齢化と若手不足に悩まされています。2025年、団塊世代が後期高齢者(75歳以上)に突入し、労働人口はさらに減少。国土交通省によると、全国約43万の道路橋が1970年代以前に建設され、2030年代には耐用年数を超えるものが急増します。過疎地域では特に顕著で、維持が必要な施設が放置されるケースも出てくるでしょう。
2. 財政難が補修を遅らせる
人口減少は税収減を意味し、社会保障費の増大と相まって公共事業予算が圧迫されています。インフラの更新には巨額の資金が必要ですが、現在の財政状況では十分な投資が難しいのが実情です。
今後、予算の優先順位付けが厳しくなり、補修が後回しになれば、橋の崩落や水道管の破裂といった事故が現実的なリスクに変わります。
3. 地域格差が問題を複雑に
都市部では人口集中によるインフラの過負荷が、過疎地域では利用頻度の低下による維持コストの不均衡が進行中です。山間部の道路や橋は、使用者が少ないにもかかわらず管理が必要で、自治体が撤退を選択する可能性も。一方、都市部では老朽化したインフラが需要に耐えきれず、機能停止の恐れがあります。この地域偏在が、インフラ崩壊をさらに加速させる要因となるでしょう。
✔期待される具体的な取り組み
インフラ崩壊を立て直すためには、技術的、経済的、社会的な対策を組み合わせた包括的なアプローチが求められます。以下に、日本や世界の事例を踏まえつつ、インフラを再構築・強化するために期待される具体的な取り組みとしては建設業界の改革と社会の意識改革です。
1. 建設業界の変革と課題
労働力不足を補うため、AIやロボット技術の導入が急がれています。ドローンによる点検や自動施工機械は有望ですが、初期投資や技術者育成に時間がかかります。また、資材価格の高騰も深刻です。2025年現在、ウクライナ情勢や円安で鉄鋼やセメントのコストが上昇し、建設プロジェクトの遅延や収益悪化を招いています。業界は技術革新とコスト管理の両立を迫られるでしょう。
2. 社会全体での意識改革が必要
インフラの「量」から「質」へのシフトが求められています。つまり、必要最低限のインフラを選別し、効率的に運用する考え方です。しかし、これは住民の生活スタイルや価値観の変化を伴うため、政治的な合意形成が難しい側面もあります。市民がインフラの優先順位について理解し、協力する姿勢が不可欠です。
これらの対策には、資金・時間・人材の制約がつきまといます。
特に日本では、人口減少による税収減と高齢化が進む中、優先順位の決定が難しいのに加え、技術導入には初期投資が必要で、短期的な成果を求める政治的圧力とのバランスも課題です。
なかなか簡単に解決にむけて進めない問題でありますが、真剣に考えていかなければならない問題だと思いました。