木造人工衛星いよいよ来年打ち上げ
1957年に世界初の人工衛星スプートニク1号が打ちあげられてから幾星霜、科学技術は進歩を重ね近年、通信衛星など多くの人工衛星が打ち上げられています
これら従来の人工衛星はアルミや鉄といった金属で機体が作られているため、運用が終わると大気圏に突入させて燃焼させますが、その際に極めて小さい酸化アルミニウムの粒子が残り宇宙の環境汚染という問題が発生しています。
これらの問題を少しでも軽減するために、ある素材が京都大と住友林業によって共同開発が進められていました。
✔木材
京都大と住友林業の研究ではホオノキ、ダケカンバ、ヤマザクラの3種類の木材を、国際宇宙ステーションの船外にて約10ヶ月間の曝露実験を行い、2023年1月に試験体は地球に帰還しました。
NASA、JAXAを経て今年3月に木材試験体を受理し、外観、質量等を測定する1次検査を実施。
木材の割れ、反り、剥がれなどはなく、 温度変化が大きく強力な宇宙線が飛び交う極限の宇宙環境下で、試験体の状態は安定しており、木材の優れた耐久性が示されたということです。そこで加工性の高さ、寸法安定性、強度等を鑑み、木造人工衛星(LignoSat)にはホオノキを使用することが決定されました。
打ち上げは2024年2月以降になるそうです。運用後は大気圏突入時に完全に燃え尽きるので微小物質が発生せず、よりクリーンで環境に優しい人工衛星の開発につながると考えられています。
✔宇宙空間での木材の活用
2016年、宇宙飛行士の土井隆雄氏が京都大学にて宇宙総合学研究ユニット特定教授に就任しました。
土井さんは人類が宇宙へ本格的に進出した際、家などの生活空間を現地調達した木材で作っていくことを前提にして、「重力が地球上に比べると小さく、環境が整えば大きく木が育つはず」と話していて、初期投資や開発は莫大(ばくだい)になると予想されるが、地上よりも効率的に木材を調達できる可能性はあると考えているそうです。
木材にはまだまだ我々の想像しえない可能性が秘められているのかもしれません。