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木造超高層ビルは可能か? 国内建設業界の挑戦

 

 欧米では近年、木造建築が注目を浴びています。イギリスのロンドンでは80階建ての木造高層ビルの建設構想が公表されています。

我が国日本でも、いくつかの木造超高層ビルの建設が計画され、技術開発が進められています。

木材による高層建築は可能なのか? 各企業のプロジェクトを見てみましょう

 

  • 住友林業・・・高さ350m 地上70階建て 日本一の高さの木造高層ビルを計画

住友林業は『W350 計画』と称される大阪のあべのハルカスを凌ぐ高さの高層ビルを木造で実現しようとする計画を発表しました。

建物は店舗、オフィス、ホテル、住宅として利用される予定です。

(住友林業提供)

このプロジェクトの目指すところは、木材の大量使用によるCO2削減効果および林業の活性化である。

木材は呼吸することで二酸化炭素を吸収し、酸素を吐き出していることは知られているが、伐採されたあとも吸収された二酸化炭素は炭素として木材の中に貯蔵されることによりCO2削減効果が期待されている。

今回のプロジェクトでは18万5000立方メートルもの木材を使用する予定で、木造住宅約8000棟分に相当する量になると言われています。

その結果、CO2を炭素として固定する量は約10万CO2トンにもなるそうです。

 

 

  • 三井不動産と竹中工務店、日本橋に国内最大・最高層の 木造賃貸オフィスビル計画検討

三井不動産と竹中工務店は、東京日本橋に木造高層建築物として国内最 大・最高層となる賃貸オフィスビルの新築計画に着手しました。

地上 17 階建てで高さは 約 70m、延床面積 約 26,000 ㎡にもなるそうです。2023 年着 工・2025 年竣工を目指しています。

(竹中工務店提供)

主要な部材には竹中工務店の耐火集成材『燃エンウッド』が使われています。これは火災が生じた場合、断熱効果と吸熱効果により柱・梁を火災の熱から守る耐火構造の認定を国土交通大臣より受けた技術です。

カラ松、杉、ヒノキを使い、モルタル、石膏などを組み合わせ、燃えにくい構造になっています。

 


これらの木造高層建築計画は我が国の国有林の利用を促し、国内林業が活性化されることも期待されています。

特に竹中工務店は、木材の需要を高め、自然との共存やCO2削減を目指すとともに地域産業の活性化、まちづくりへの取り組みを循環させる『森林グランドサイクル』と呼ばれる活動を進めています。

 

  • まとめ

これまでになかった木造高層建築の実現することで、都心で働くワーカーや、近隣住民に対し木造 ならではのぬくもりとやすらぎを与え、日本における都心での街づくりへの新たな価値創造や景観を生み出す魅力あふれ る場となることが期待されます。