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高所作業時の事故を「ゼロ」に!フルハーネスの着用義務化!

 

ここ数年、建設、建築の現場では労働環境が著しく改善され、格段に良くなってきています。

 

分煙が進んだことや、たくさんのハラスメントという言葉が生まれ、様々なことを是正していこうという社会的な機運が高まっています。

そんな中、まだまだ改善への道のりが遠いのが高所作業時の墜落・転落による事故です。

 

今回は厚生労働省が労働安全衛生法施行令(安衛法)と労働安全衛生規則(安衛則)の一部を改正し、墜落制止用器具を「フルハーネス型」に原則化したことについてです。

 


 

✔フルハーネスの義務化

 

 

厚生労働省の労働災害発生状況によると毎年200名以上の死亡者と20,000人を超える休業4日以上の死傷者が発生しています。

そこで、高所作業での“フルハーネス型”墜落制止用器具(旧名称:安全帯)の原則使用などを盛り込んだ改正政省令が2019年2月1日施行し、建設業では5m超えの高所作業でフルハーネスの着用が求められるようになりました。

また安全帯の規格を改正した「墜落制止用器具の規格」も施行され、新規格に適合しない墜落制止用器具は2022年1月2日以降、メーカーや代理店は販売することができなくなりました。

作業床のない2m以上の高所で作業を行う場合は原則フルハーネスの着用をお願いいたします。

 


 

✔新規格品と旧規格品の違い

 

労働安全衛生法の安全帯の規格(旧規格)と墜落制止用器具の規格(新規格)におけるフルハーネス型墜落制止用器具(安全帯)の主な違いについて紹介します。

●規格名:
‐ 旧規格:安全帯の規格
‐ 新規格:墜落制止用器具の規格

●使用制限:
‐ 旧規格:規定なし
‐ 新規格:6.75メートルを超える高さの箇所で使用する墜落制止用器具はフルハーネス型
着用する者の体重及びその装備品の質量の合計に耐えること
ランヤードは作業箇所の高さ及び取付設備等の状況に応じ、適切なものでなければならない

● フルハーネスの衝撃荷重値:
– 旧規格:8.0kN以下
– 新規格:トルソー(100kg又は85kgの試験用落下体)を保持すること

●フルハーネスの落下体の角度(ワイヤーと着用者とのなす角度):
– 旧規格:30°以下
– 新規格:45°以下
50°以下(環が胸部に備えられている場合等)

●ショックアブソーバの耐衝撃性:
– 旧規格:ショックアブソーバの伸びが650mm以下
– 新規格:第一種 自由落下距離1.8mの場合、
衝撃荷重値4.0kN以下、ショックアブソーバの伸び1.2m以下
第二種 自由落下距離4.0mの場合、
衝撃荷重値6.0kN以下、ショックアブソーバの伸び1.75m以下

●ハーネス本体の強度:
– 旧規格:11.5kN以上
– 新規格:頭部方向への引張値15.0kN以上
足部方向への引張値10.0kN以上

●ランヤードの強度:
– 旧規格:15.0kN以上
– 新規格:織ベルト又は繊維ロープは22.0kN以上
ワイヤロープ又はチェーンは15.0kN以上
第一種ショックアブソーバと組み合わせて使用する織ベルト及び繊維ロープは15.0kN以上

●ショックアブソーバの強度:
– 旧規格:11.5kN以上
– 新規格:15.0kN以上

●巻取り器の強度:
– 旧規格:11.5kN以上
– 新規格:11.5kN以上
ロック機能を有する巻取り器は6.0kN以上

 


 

✔新規格のおすすめハーネス

 

1.藤井電工・・・日本の安全帯の中ではもっとも知名度があり、6割のシェアを獲得しています。高い性能がありながらもコストパフォーマンスに優れている点が人気。

 

 

 

2.サンコー・・・日本で初めてISO9001の認証を受けた一流安全帯・墜落防止機器メーカーです。「タイタン」ブランドで有名、特に伸縮性に優れており、脱着が容易な点が強み。

 

 

3.タジマ・・・建築用ハンドツールのトップシェアを誇る会社です。安全帯分野には2009年からの参入になりますが、ワンタッチ式はとても使いやすいと評判で新たな顧客を獲得しています。

 


 

✔まとめ

 

フルハーネス型安全帯は、胴ベルト型より高価になるため軽い出費ではありませんが、その見返りは労働災害の減少です。

また新たに、改正労働安全衛生法施行令に伴い、地上からの高さが高さ2m以上で作業床を設けることが困難な場所でハーネス型墜落制止用器具を使用して作業を行う高所作業者は、「墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務に係る特別教育」の受講が義務付けられました。

正しい着用、知識、高い安全意識はもちろんですが、まず「落ちないこと」を徹底的にしなくてはいけません。労働災害減少・安全は、一人ひとりの意識で醸成するものですので、危険軽視や近道省略行動、慣れは注意していきましょう。