2024年の注目は竹造建築
最近よく目にするようになった放置竹林の問題。
都市近郊でも空き家の周辺が竹藪に変わりつつある姿を目にするようになっており、放置された竹林に猪が住みついて獣害を引き起こしたり、日が射さなくなったことで竹が腐って倒壊したりするなど竹林の問題は拡大しているようです。
そんな日本になじみの深いこの竹を建築に使ってみようというプロジェクトが日本各地で始まっています。
では見ていきましょう。
✔日本人と竹の関係
日本人と竹の関係は長い歴史で見ても非常に深く、松竹梅と形容されるように我々の生活や文化に重要な役割を果たしてきました。
例えば 柔軟で頑丈な性質を利用した建築素材としての使用。伝統的な日本庭園や家具に使われたり、
竹筆や、竹櫛、などの工芸品、竹細工は日本の伝統工芸技術として長年受け継がれています。
また食文化にも根付いており、竹の皮を使った包めしやタケノコを使った日本料理は日本各地で作られており、春になるとタケノコ狩りに多くの人が出かけていきます。
このように竹は我々日本人の文化や生活に重要な役割を果たしています。
✔竹の性質
竹は柔軟性に優れ強度があるため建築材料に向いていると言われています。
針葉樹は40~60年、広葉樹に至っては100年以上かけて育てますが、竹は3年で使えるようになり、一度伐採してもすぐに次の世代が育って使えるようになります。
樹木と違い、成長期の1年ほどしかCO2は吸収しないといわれていますが、単位面積あたり多くの竹が育っていることを考えると竹の使用は環境にも寄与します。
もちろんいいことばかりではありません。
竹は繁殖力が強く、放置しておくとどんどん広がって周囲の森林などに侵入して繁茂します。
また竹は樹木と違い、根が浅く雨が降った時には竹林ごと斜面を滑り落ち土砂災害を引き起こす危険があるなど、最初に記したように適切に管理しなければ、獣害を引き起こしたりもろもろの問題が発生します。
✔竹造建築プロジェクト
研究が始まったのは2016年。日建ハウジングシステム(東京・文京)が竹造建築を成功させるにあたり、最初に取り組んだのは竹の集成材。
フローリングなど床材としてはすでにあるが、構造材としてはまだ世にない材である。
竹の強度はスギ材よりも高いが、竹は建基法37条で規定する指定建築材料でもなければ、JIS(日本産業規格)やJAS(日本農林規格)にも建材としての定義はないため、2017年7月から2018年3月にかけて各種強度試験を実施し、2019年5月から2020年3月にかけては実際に集成材による建材の開発、展開を行ったそうだ。
そして2023年3月ついに国内で初めて竹集成材構造による性能評価書を取得した。これでプロジェクトの実施が決まれば、建築基準法20条による国土交通大臣認定を受けることで、スムーズに建築できるという。
現在進められているモデルプロジェクトは、地上1階建ての店舗を想定し延べ面積は70m2。
日本で竹林の面積が最も広い鹿児島県で地元産の竹の活用に取り組む鹿児島県薩摩川内市内の市有地を敷地に設定した。構造材は、日用品や家具などで一般的に使われている竹集成材を活用するとのこと。
実用化されるのが楽しみですね